酵母の実験 2005.4.21





「ようし、酵母の実験やーるぞー」と張り切っていたところに、「コボ?」と口をはさんだS。どうやって実験しろっていうんだよ! 確かにうちは読売新聞でしたよ。毎日読んでましたよ。

そっちじゃなくて、酵母です。。。酵母を家庭で育てましょうという試みです。どうして育てたくなったかというと・・・、それは酵母が育ってからのお楽しみです。途中でカビなどが生えて腐ってボツになる可能性も。そういうのを contaminated と言います。

広辞苑によると、酵母とは、

アルコール発酵を営む菌類の一群で、円形もしくは楕円形の微細な単細胞であり、出芽によって繁殖するものの総称。子嚢菌類のサッカロミセスが主体で、ほかに担子菌 類・不完全菌類に属するものがある。酒の醸造やパン製造に欠かせない。イースト。

ふむふむ、なるほど。英語では、yeastと言うんですね。イーストと日本語で言うと、イースト菌を想像してしまいますね。

酵母を特定したいときは、やっぱり学名を使うしかないですよね。Saccharomyces cerevisiae のように、イタリック体で書きます。

さて、今回は天然酵母を育てようということで、育ててしまいます。どこにいるかと言えば、どうやらブドウの表面にいるらしいのです。何か白っぽいものがついていることがありますよね? どうもあれがそうらしいのです。酵母自体の大きさは、ひとつ3〜12マイクロメートル(0.003〜0.012mm)ですが、多く集まれば粉のように見えるのでしょうか。詳しいことまでは聞かないで下さい・・・。

酵母が育つ(増える)為には人間と同じく栄養が必要です。酵母は水と炭水化物があれば育つそうなので、ブドウ(炭水化物のかたまり)はいいエサですね。酵母は、炭水化物を酸化してエネルギー(ATP)を得ています。詳しくは下を参考にしてください。

@ Glucose→→10 enzymatic steps→→2Pyruvate

Glucose + 2NAD+ + 2ADP + 2Pi → 2Pyruvate + 2NADH + 2ATP + 2H2O + 4H+


A 2Pyruvate→→2 enzymatic steps→→2Ethanol

2Pyruvate + 2NADH + 2H+ → 2Ethanol + 2NAD+ + 2CO2


@はあなたの体の中でも起こっていて、Glycolysis もしくは、Embden-Meyerhof-Parnas pathway と呼ばれています。ではどうして酵母はAの反応が必要なんでしょうか? 簡単ですね、そうしないとNAD+がなくなって、@の反応が進まず、ATPが作れなくなってしまうからです。だから、NADHNAD+に戻す必要があるわけです。

Aのような回路はFermentation(発酵)と呼ばれていますが、酸素が関与していませんね? 人間の場合、体にEthanol(酒のアルコール成分)ができたら困りますよね? だから別の反応経路があって、最終的にNADHは酸素に電子を投げつけてNAD+に戻ります。酵母もその別の反応経路を持っているようですが、酸素が少ない場所ではAを優先するようです。それは、Aの回路を用いたほうが、別回路を用いるより100倍も早くATPを産出できるからです。

実は人間もAに似たような反応経路を持っていて、特に酸素が不足しやすい筋肉などが行っています。

A' 2Pyruvate + 2NADH+ 2H+ → 2Lactate + 2NAD+

Lactateは乳酸です。肝臓まで戻ってGlucoseに戻ります。



おまけ

@は10個の酵素が関与していますが、生化学の授業を取ったならばすべて覚えなくてはなりません。Aは最初のステップが pyruvate decarboxylase (パイルーヴェイト ディカーボキスィレース)、次が alcohol dehydrogenase (アルコホー ディハイドロジェネイズ)です。英語のカタカナ表記は嫌いなのですが(発音記号で書くべきです)、ここはあえて書きました。なぜかというと、日本語で dehydrogenase を「デヒドロゲナーゼ」とか言っているからです。常任理事国入りがもしかしたら実現して、これから海外での活躍がますます期待される日本人です。そろそろ変なカタカナ読みはやめたほうがいいのでは??? ちなみにA'の反応は、lactate dehydrogenase (ラクテートデヒドゲナーゼ)が関与しています(笑)。



早速ターゲットで$2/LBのブドウと干しブドウを買ってきました。それと、培養用に、蓋つきのガラス容器をウォルマートで買いました。



こちらが、酵母がついていると思われるブドウ



さっそく作業開始です。生のブドウは300gを測り、潰して砂糖30gを加え、ビンに入れました。干しブドウは200gをビンに入れました。それから水をブドウの高さの2倍のところまで加えます。



酵母を育てる準備完了。



あとは、これを30度ぐらいのところにおいておけば、酵母が増えてくるはずです。とりあえず冷蔵庫の上に置いておくことにしましょう。



育つかな?