BIOL 659 Biochemistry Lab(生化学実験)

必要なテキスト Dr. G の本
ウェブサイト http://rnaworld.bio.ukans.edu/class/Biol659/2003fall/biol659.html


この授業を取ったのは、必修科目だからです。


1回目の実験 葉緑体の分離して、葉緑体あたりのたんぱく質の濃度を求める。


最初の実験は、ほうれん草の葉から、Chloroplast (葉緑体)を分離するっていう実験だった。手順としては、

1.ほうれん草の葉を homogenize (均質にする)する。これは Waring blender というミキサーで行われる。っていうか、ただのミキサー・・・。

2.均質になったやつを、differential velocity centrifugation (液が入った入れ物を直接遠心分離する。密度の高いものから沈殿する。)

3.遠心分離で得た葉緑体は、broken (壊れた)と intact (壊れていない)なものがあるので、これを、 equilibrium density gradient centrifugation (密度の違う液体が層になって入っている容器に、遠心分離したい液体を上からかけて、その後遠心分離する。)

4.壊れた葉緑体と壊れていない葉緑体が分かれるので、顕微鏡で観察する。

5.葉緑体の中のたんぱく質の濃度を測定する。

6.葉緑体の中の Chlorophyll (葉緑素)の濃度を測定する。

7.5と6の比を求める。



1.ほうれん草の葉を homogenize (均質にする)する。

ほうれん草をそのままミキサーに入れると、ほうれん草の葉に含まれる水分が少ないので、うまくいかない。そこで、Grinding (GR) Buffer と一緒にミキサーにかける。普通の水と一緒に homogenize すると、葉緑体が浸透圧によって破裂してしまうからだ。
浸透圧を保つために、Sorbitol(1.67M)が GR Buffer に入れてある。また、HEPES(250mM)は pH を保つために、Na2EDTA(10mM)は葉緑体同士がくっついて固まるのを防ぎ、MgCl2(5mM)は、葉緑体の代謝を保つ。

ミキサーをかけおわったら、液体を cheesecloth(上4〜6枚)と Miracloth(下2枚)でこす。少し絞ってもいい。

ほうれん草の葉は、使う前に一晩暗いところ(4℃)においておくと、葉の中のでんぷんがほとんど呼吸によって使われるので、遠心分離をかけたあと、でんぷんがでてきてこまった、ということにならなくてすむ。


2.均質になったやつを、differential velocity centrifugation


遠心分離は対角線上に重さが同じ容器を2つ置かなかければならないので、重さを同じにする。右の写真はおんぼろ遠心分離機。遠心分離機は、遠心分離をするときの温度を設定できる。この時は約5℃。

 
左は遠心分離機から出したところ。右下に葉緑体が集まっている。supernatant(上澄み)を取り除いたのが右の写真。この葉緑体の pellet(かたまり)は桃屋のごはんですよ、のような粘り気のある。pellet には普通、一番下にでんぷんと核、真ん中に壊れていない葉緑体、一番上に壊れている葉緑体がある。

遠心分離で6000×g となっていたら、重力加速度の6000倍の加速度がかかるということだろう。遠心分離機の上に、加速度と回転数のテーブルがあるので、それから回転数を割り出して指定する。お望みの回転数になってから、時間を計る。このボロは回転数が上がるのは遅いし、時間が経った後、なかなか止まらない。ブレーキがぶっこわれてるのだろう。

pellet は、GR Buffer で resuspend (溶かす;しばらくして味噌が下の方にたまった味噌汁をかきまぜるというようなニュアンス)し、違う容器に移してまた遠心分離する。これが終わるとまた pellet が出てくるので、それをまた 少量のGR Buffer に溶かす。





3.遠心分離で得た葉緑体は、broken (壊れた)と intact (壊れていない)なものがあるので、これを、 equilibrium density gradient centrifugation (密度の違う液体が層になって入っている容器に、遠心分離したい液体を上からかけて、その後遠心分離する。)

これはどういうことかというと、普通の遠心分離では、壊れた葉緑体と壊れていない葉緑体を分けることが難しいので、これらの密度が少し違うことを利用する。縦長の容器に、下の方には密度の高い液体、上には密度の低い液体を入れたものを用意する。これに、上から葉緑体を含む液体を乗せて遠心分離すると、葉緑体は自分の密度と同じ密度を持つ液体のところまで沈む。

左の写真は、その濃度の違う液体が入っている容器である。その液体には、Percoll(浸透圧維持 〜100%)、PEG-8000(密度のためのポリマー 3% w/v)、Ficoll400(密度と粘度を調整するためのポリマー  1% w/v)、BSA(葉緑体とinteract してしまう小さな分子に結びつく  1% w/v)などが入っている。

上には、40% Percoll、真ん中から下には80% Percoll溶液が入っている。syringe(注射器)とそれに着いたチューブを使い、最初に40%溶液を入れ、その後80%溶液を静かに底に入れていく。最初に80%入れて、その上に40%を入れるんじゃだめなんですか、Dr. G ?

これに、葉緑体の液を入れたのが右の写真。私のパートナーはよく観察もせずに、ぱっぱとやってしまうのがよくない、っていうかアホっていうかバカ、っていうか一緒にやりたくない。






  

これを遠心分離すると見事に壊れた葉緑体と壊れていない葉緑体に分けることができた(一番左の写真)。バンドが2つ見える。上が密度が低い壊れた葉緑体で、下が密度が高い壊れていない葉緑体である。この容器から、いらない液体を取り除いて、壊れたやつと壊れていないやつを取り出す。

それから、それをまた GR Buffe に溶いて(真ん中の写真)遠心分離にかける。終わったら上澄みをすてて、壊れた葉緑体と壊れていない葉緑体の分離完了(一番右の写真)。


疲れたので、ドーナッツ休憩。ここまでで約4時間
(月曜に4時間、水曜に4時間という実験スケジュールなので、月曜はここでおしまい。だから、ドーナッツを食べに行った。)




4.壊れた葉緑体と壊れていない葉緑体を顕微鏡で観察する。

oil immersion lense を使い、光学顕微鏡(×1000)で観察した。左が壊れていない葉緑体で、右が壊れている葉緑体。






5.葉緑体の中のたんぱく質の濃度を測定する。

これは、どうやるかというと、Bradford Assay を使う。これは、どんなたんぱく質にも結びついてしまう Coomassie Brilliant Blue G-250 という色素を用いる。この色素はたんぱく質と結合すると、 Absorbance(吸光度)のピークが 464 nm から、595 nm にシフトする。これを利用するのだ。濃度の分かっているたんぱく質溶液をいくつか用意して、それに色素を混ぜて、吸光度を測定する。これにより、直線の方程式(y は吸光度、x はたんぱく質の濃度[mg/ml]) が求まるので、後は、葉緑体の液に色素を混ぜて吸光度を測定すれば、たんぱく質の濃度が求まると言うわけだ。計算は、すべて、PRISM というソフトで行う。




6.葉緑体の中の Chlorophyll (葉緑素)の濃度を測定する。

これは、葉緑体をアセトンに溶かして、 645 nm と、663 nm での吸光度を測定し、
[chlorophyll] = 20.2 × A645 + 8.02 × A663 (μg/ml)に代入して求める。




7.5と6の比を求める。

これは、なんでやるんだろう。つまり、葉緑素の濃度は分かっても、葉緑体の濃度は分からない。しかも、たんぱく質の濃度を測ってみたところで、それは葉緑体の中のたんぱく質だから・・・・。ということで、たんぱく質の濃度は、決まった量の葉緑体あたり、いくついくつ、というものでなければならない。しかし、今葉緑体の濃度は分からない。

そこで頭をすこしひねってみる。たとえ葉緑体が壊れてしまっても、葉緑素は水に溶けないので、葉緑体から溶け出すことはない。つまり、葉緑体が壊れていようが壊れてなかろうが、葉緑素の量は同じであるということだ。だから、たんぱく質の濃度を葉緑素の濃度で割れば、それは、たんぱく質の濃度を葉緑体の濃度で割ったものとだいたい同じだ、ということである。




ステップ5、6、7は、Spectrophotometer(吸光度を測る機械)がいかれていたので、データを取れなかった。他のグループからデータをもらったのだが、6のデータが含まれていなかったので、混乱した。まったく。この実験では、壊れていない葉緑体の方が、葉緑体あたりのたんぱく質が多く含まれている、と言うことが 目的であった。



2回目の実験 ミトコンドリアの分離して電子伝達系がどうなっているか調べる